国内上場株式の個別銘柄を保有し、自ら銘柄を選択している個人投資家1,094名を対象に、四半期ごとの定点で投資判断の形成過程を調査しました。
今回の特集テーマは「投資判断は、どこで止まるのか」です。
各カードは「どの設問の、どの回答を、どの母数で数えたか」を明記しています。〔Q18×Q11〕はQ18の回答をQ11の分類別に集計したもの。構成比は小数第2位を四捨五入。
出典:Ishare Investor Survey 2026 Q2(株式会社Ishare)
EXECUTIVE SUMMARY
投資機会は、最も熱心な投資家との間で失われている
本レポートは、日本株の個別銘柄に投資している個人投資家1,094人を対象とした四半期定点調査の結果です。読者として、個別銘柄への投資判断を自ら行っている個人投資家と、上場企業のIR・経営企画のご担当者の双方を想定しています。また、2026 Q2調査では、成立した投資ではなく成立しなかった投資の背景分析を重視しました。買われた理由よりも、買われなかった理由のほうが、投資家・発行体の双方にとって改善の余地を正確に示すと考えたためです。
第一に
情報が足りずに投資判断が成立しない局面は、関心の薄い層ではなく、最も熱心に企業を調べている層で起きている
直近3か月に「情報が十分に得られず、判断を先送りしたり見送ったりした」経験を持つ人は全体の43.5%でした。ところが自分で業績を予想する層に限れば74.0%、Excelなどで詳細なモデルを作る層では83.8%に達します。逆に定量的な予想をしない層は20.4%にとどまります。見送りは、調べなかった結果ではなく、調べ抜いた末に到達した結論です。
第二に
投資家が手を止める場所は「情報の量」ではない
見送りの理由として最も多いのは「良い会社だとは思ったが、いま買う理由(次に株価が動くきっかけ)が分からなかった」25.0%で、「資料を探したが必要なものが見つからなかった」14.9%を10ポイント以上引き離しています。探索や可読性に起因する詰まりは合計32.4%であるのに対し、納得に関わる詰まりは57.1%を占めます。資料にはたどり着いています。それでも判断できない、というのが多数派です。
第三に
企業が発信するIRイベントの大半は、投資家の買いの意思をほとんど動かしていない
調査対象とした16の出来事のうち「買い増したいと思う」が4割を超えたのは「増配・株主還元方針の強化」44.2%のみで、新しい中期経営計画の公表は73.6%が「投資判断には特に影響しない」と回答しました。さらに事業・子会社の売却(ネットスコア−14.4)、経営トップの交代(同−8.7)、遊休資産・政策保有株式の売却(同−3.5)は、むしろ慎重姿勢を招いています。
背景には投資家側の変化もあります。生成AIの利用者は全体の47.6%に達し、20代では88.2%、60歳以上でも31.3%です。高頻度利用者の55.6%が「1銘柄あたりにかける時間が減った」と答える一方、生成AI利用層は有価証券報告書を「最も信頼する情報」に挙げる比率が39.9%(未利用層22.6%)と高く、一次情報への需要はむしろ強まっています。読む時間は減り、読まれ方の要求水準は上がる。これが、いま情報の受け手側で起きていることです。